
2025年11月1日より、新商品「香住ガニの出汁しゃぶ」の出汁しゃぶを発売いたします。
新商品開発プロジェクトは、香住ガニのふるさと・香美町、地元水産加工業の株式会社ハマダセイ、そして下鴨茶寮の三者の出会いから始まりました。携わった担当者にそのこだわりをインタビューします。
下鴨茶寮が挑む、地方食材のブランド化
©ハマダセイ
下鴨茶寮はここ数年、ふるさと納税を軸に「地方食材のブランド化支援プロジェクト」を進めています。
これまでに“のどぐろ”“天草黒牛”“天草大王”“とらふぐ”“ホエー豚”“金の桜黒豚”といった地方の逸品をお鍋セットに仕立ててきました。そして今回、世に送り出すのが「香住ガニの出汁しゃぶ」。
兵庫県北部、日本海に面した港町・香美町香住。豊かな漁場に恵まれ、この地で水揚げされるベニズワイガニが「香住ガニ(かすみがに)」です。
この商品開発に携わった担当者よりお話を伺いました。
◆北村さん(香美町役場 香美町ふるさと納税推進室):ふるさと納税と地域PRを担当。
◆松本さん(株式会社ハマダセイ):香住港そばに工場を置く水産加工会社代表。
◆下鴨茶寮・佐藤(ふるさと納税担当)/下鴨茶寮・藤本(料亭側の仕立てを担当 )
香美町・香住ガニがふるさと納税を変えた

©ハマダセイ
香住ガニは、近年ぐっと知名度を上げてきている兵庫県香美町が誇るブランド蟹です。どのような取り組みがあったのでしょうか。
香美町・北村さん「6年くらい前までは、ふるさと納税返礼品の一番人気は“セコガニ”でした。でも、脚が折れたり見た目に難がある“ワケアリ品”をふるさと納税に出したら、意外と好評だったんです。そこから“香住ガニ”の名が広がって、今では返礼品の半分以上を占めるほどになりました」
香美町は神戸に営業所を置いて10年にわたりPRを続けています。地道な活動で、香住ガニの知名度を浸透させていったのです。ふるさと納税の返礼品の加工に携わるハマダセイも町と一体となって商品開発やPRに取り組み続けています。
ハマダセイ・松本さん「昔は“姿ガニ”が喜ばれました。でも今は処理やゴミの問題もあって、甲羅盛りやしゃぶしゃぶのような“加工品”が好まれるんです。ご家庭で手間なく愉しめるのが人気の理由ですね」
香住ガニとは
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ベニズワイガニの中でも、香住漁港で水揚げされたものだけが「香住ガニ」と名乗れます。そこにブランドたる理由があるといいます。
香美町・北村さん「赤色はやや淡く、甘みが強いのが特徴ですね」
ハマダセイ・松本さん「松葉ガニと比べると身の締まりはやや柔らかいけれど、その分みずみずしくてジューシー。幅広い世代に食べやすいカニです。大ぶりなものは“黄金ガニ”として取引されるんですよ」
鮮度の秘密は、小型船による日帰り漁。さらに、ハマダセイの加工所が港に近く、水揚げから加工までの時間が短いため、獲れたての状態で処理が進みます。加えて、ハマダセイが導入する「プロトン凍結技術」によって細胞が壊れにくく、解凍しても旨みや食感が損なわれません。
©ハマダセイ
香美町・北村さん「小型船なので、遠洋にいかず近場で獲る漁師さんが多いことと、地元に加工所があるということが決め手です」
漁期は9月から翌年5月末までと長く、安定供給しやすいのも魅力。だからこそ、ふるさと納税の返礼品としても存在感を放っています。
香住ガニを立てる、下鴨茶寮の料亭仕立て

下鴨茶寮・佐藤「下鴨茶寮は鱧、合鴨、ぶりなどの“出汁しゃぶ”が大変ご好評をいただいており、次なる食材として蟹が候補に挙がっていました。当茶寮がふるさと納税のプラットフォーム事業さんと取り組んでいるご縁で香美町の香住ガニをご紹介いただきました」
下鴨茶寮・藤本「下鴨茶寮の強みは“出汁”です。香住ガニの甘みを受け止め、濁らせず、すっと立ち上げる出汁をつくる。それが一番の仕事でした。総料理長の本山も数種のカニを試食して、“香住は素直に立つね”と。味の最終調整が最小限で済んだのが印象的でした」
ハマダセイ・松本さん「うちは通常、加工から冷凍、出荷、PRまで一気通貫でやりますが、今回は下鴨茶寮さんにパッケージや写真もお願いしました。盛り付けた写真の出来栄えも美しくて、香住ガニを一段格上げしてくれていると感じます。見た目の美しさも品質の一部だと思います」
香住ガニの出汁しゃぶ、商品化のかたち
完成したのが、ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」や下鴨茶寮オンラインショップでも販売される「香住ガニの出汁しゃぶ」です。

香住ガニの出汁しゃぶ(2〜3人前)
●ベニズワイガニ(香住ガニ)ポーション 250g×2
●特製鍋だし 170ml
●香りぽん酢 300ml
●かにみそ加工品 100g
保存方法:冷凍(賞味期限30日)

香住ガニを知り尽くす、ハマダセイの松本さんに特におすすめの食べ方を伺いました。
ハマダセイ・松本さん「しゃぶしゃぶはもちろんですが、下鴨茶寮さんが監修したかにみそがポイントです。途中で出汁に溶かせば“味変”になり、最後は雑炊で深みが出る。三段階で楽しめます」

また、松本さんは、解凍のコツも教えてくれました。「大事なのは解凍の仕方。完全に解かさず、半生くらいの状態で出汁にくぐらせるのが一番おいしいんです。身がふわっと開いて、甘みが逃げません」
ほかにも、フライパンで焼いても甘みが増して美味しいそう。殻が外してあるので手軽に愉しめそうです。
香美町の魅力を知ってもらうきっかけに
©香美町
香美町・北村さん「香美町は海と山が近く、食材の豊かさと暮らしの豊かさが誇れる町です。カニはもちろん、ホタルイカや但馬牛といった特産品もありますし、冬はスキー場、夏は海水浴と、一年を通じて自然を楽しめるんです。夕日が美しいことでも知られます。」
香美町・北村さん「ふるさと納税でいただいた寄付金は、子どもの教育や給食費の無料化などに役立てています。返礼品をきっかけに、この町に関心を持っていただけたら嬉しいですね」
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香住ガニの甘み、ハマダセイの技術、下鴨茶寮の仕立て。三者の力が合わさって生まれたのが「香住ガニの出汁しゃぶ」です。
食材の物語に敬意を払い、京都料亭の技でお仕立てし、全国のご家庭にお届けしてまいります。
——この冬はぜひ、ご自宅で「香住ガニの出汁しゃぶ」をお愉しみください。