京都・下鴨神社で執り行われる「みたらし祭」は、「土用の丑の日」に行われる神事。
下鴨神社本殿のそばにある御手洗池(みたらしいけ)の水に足を浸して無病息災を祈る祭りです。
夏の土用は、この“祓い”の風習と、うなぎやすっぽんで身体をととのえる“養い”の風習が交差する季節。祓い、養う。夏を心地よく越す、京の智恵をご紹介します。
「土用の丑の日」に行われる下鴨神社の「みたらし祭」
©下鴨神社
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「土用の丑の日」とは、立秋前の18日間——「夏の土用」のうち“丑の日”にあたる日を指します。
陰陽五行において「土用」は季節の節目にあたり、立春・立夏・立秋・立冬の前の18日間をさします。土用は年4回訪れますが、夏はとりわけ心身の疲れが出やすく、古来より“祓いと養生”の時期とされてきました。
この時期、下鴨茶寮がご縁をいただく京都・下鴨神社では、「みたらし祭(足つけ神事)」が行われます。
下鴨神社本殿のそばにある井上社前の御手洗池は、7月の土用の頃になると池の周辺や川の底から清水が湧きでる不思議な池。
この御手洗池の水に足を浸し、清らかな湧水にて心身の穢れを祓い、神前にろうそくを献灯して無病息災を祈願します。
この神事はまさに、夏の土用の丑の日前後の10日間で行われ、それが終わると8月6日の「夏越神事」を迎えます。
夏でも冷たい湧き水に足を浸しお祈りをすることで、身体と心を整える第一歩となるでしょう。
2025年下鴨神社みたらし祭開催日程
詳しくは下鴨神社公式HPにてご確認ください。
■場所:下鴨神社
■開催日程:2025年7月18日(金)~27日(日)
■御灯明料:【大人】500円 【中学生以下】志納
■時間:9:00〜20:00
※本年の御手洗社例祭(土用の丑の日)は7月19日午前10時斎行
※露店の出店は7月19日・20日・21日・24日・25日・26日・27日を予定
下鴨茶寮も露店にてかき氷を提供いたします。
みたらし祭限定・下鴨茶寮の「かき氷」
「みたらし祭」の期間中、下鴨神社楼門前の参道にてかき氷を限定販売いたします。
ぜひお立ち寄りくださいませ。
■場所:下鴨神社・楼門前参道
■販売日程:7/19.20.21(土日祝) 26.27(土日)の5日間
■営業時間(予定) :15:00〜19:30
■京抹茶フランボワーズのかき氷 ¥1,200
ふわふわに削った純氷に甘酸っぱいフランボワーズの ピューレと京抹茶マスカルポーネクリームをたっぷり乗せました。酸味と爽やかな抹茶の香りがたまらない逸品です。
※数量限定につき完売の際はご了承ください。
土用の丑にうなぎを食す理由とは?
「丑の日に“う”のつくものを食べると夏負けしない」——
そんな風習を背景に、江戸時代の蘭学者・平賀源内が「うなぎ」を推奨し、土用の風物詩となったという逸話は広く知られています。
うなぎは、良質な脂やビタミンB群を豊富に含み、夏バテ予防にふさわしい滋味。
その栄養価の高さは古くから評価されており、日本最古の歌集『万葉集』において、大友家持が「夏痩せによしといふものぞむなぎ(鰻)取り食(め)せ」と歌を詠んだほどです。
京都でも、土用の丑にうなぎをいただく風習は根づきました。
『おばんざい京の台所歳時記春と夏』(河出文庫)には、大正生まれ、京都の代々続く造り酒屋で育った随筆家・秋山十三子氏の思い出として、丑の日の夕べの食卓にうなぎの蒲焼が並ぶ、懐かしい風景が描かれています。おそらく1930年代頃の光景でしょう。
料亭の味で整える「料亭の贅沢うなぎ鍋」
香ばしく焼き上げた鰻の身を、料亭のお出汁でやわらかく煮含め、山椒や季節野菜とともにいただく——
「料亭の贅沢うなぎ鍋」は、京の出汁文化とうなぎの旨みが調和した料亭の逸品です。
そのやさしい味わいは、夏の疲れをそっとほどき、体が整えば、心までも軽やかに。
土用のうなぎを、京の手仕事で。ご自宅で味わう料亭の余韻をぜひご堪能ください。
土用の養生にすっぽんの滋味
「土用の丑の日」と聞くと「うなぎの日」の印象が強いかもしれませんが、土用本来の意味は“季節の変わり目”。
体調を崩しやすいこの時期、京都では古くから“養生の食”として、すっぽんが親しまれてきました。
すっぽんには良質なタンパク質や必須アミノ酸が豊富に含まれ、疲労回復や滋養に優れた食材。
京都では「丸(まる)」と呼ばれ、甲羅の丸さに「円満」や「長寿」の願いを託し、祝い膳にも用いられます。
当茶寮でも長寿のお祝いのお席にはすっぽんスープをご提供してまいりました。
健康と長寿を祈る「命のお椀」
そんなすっぽんスープを贈りものにできるよう商品化したのが「命のお椀」です。すっぽんの滋味をじっくり引き出した、清らかなスープを閉じ込めました。温めれば、静かに、そして深く身体を潤していきます。
冷やすと自然にゼリー状となり、暑い季節には冷製スープとしてもお愉しみいただけます。
また、「命のお椀」は栄養機能食品(鉄)として、鉄分補給にもお役立ていただけます。
ひと匙ごとに、身体の芯へと染み渡るような感覚をお愉しみください。
京の夏を「祓い」と「養い」でととのえる
下鴨神社「みたらし祭」の湧水で穢れを祓い、うなぎやすっぽんで身体を養う。
心と身体をととのえることで、暑さを乗り越える知恵が、京の夏には静かに息づいています。
土用の丑には、心とからだにやさしく寄り添う、今年の一椀をどうぞお選びください。
参考文献
下鴨神社「みたらし祭足つけ神事」公式 https://www.shimogamo-jinja.or.jp/
農林水産省「土用の丑の日」解説 https://www.maff.go.jp/index.html
奈良県公式ホームページ 県民だより奈良バックナンバー 2016年7月号「はじめての万葉集」
『おばんざい京の台所歳時記春と夏』(河出文庫)秋山十三子・大村志げ・平山千鶴共著